介護事業で開業する場合の法人形態

介護事業所を開業する場合、介護事業者の指定を受ける必要があります。指定の取得により指定事業所となり、ケアプランに基づき介護サービスを提供した際に、介護報酬を請求できるようになります。なお、この指定は法人でのみ受けることができます。

法人にはさまざまな形態があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。その形態のうち代表的なものについて、1つずつ紹介していきます。

営利法人(会社)

営利法人とは、構成員への利益分配を目的とした法人で、株式会社や合同会社などがそれにあたります。

株式会社

資本金1円から、役員も1名から設立が可能です。また、資金は役員以外からも集めることができます。

メリット

株式会社のメリットは、社会的信用度(認知度)が高く、責任も有限です。また、株を発行して資金調達が可能で、さらに上場も視野に入れることができます。

デメリット

株式会社のデメリットとしては、まず設立費用が高いことです。定款認証には52,000円、収入印紙に40,000円、登記申請の際の登録免許税は150,000円かかります。また、役員変更登記や、決算公告が必要です。

合同会社

2006年の会社法施行から新たにできた会社の形態で、出資できるのは社員に限られます。

メリット

合同会社のメリットは、まず株式会社に比べて設立費用がかなり安く済むことです。定款認証は不要で、収入印紙は40,000円、登記申請の際の登録免許税は60,000円です。責任は株式会社と同様、有限です。また、配当金の分配比率を自由に設定できるほか、役員変更手続きや決算公告が不要です。

デメリット

合同会社のデメリットは、認知度が低いということと、2名以上の場合、意思決定に対立が生じると、収拾がつかなくなる可能性があることです。また、上場はできません。

非営利法人

非営利法人は、構成員への利益分配を目的としない法人で、一般社団法人やNPO法人、公益法人、社団法人、財団法人などがあります。

一般社団法人

設立時に2名以上の社員が必要になるのが、株式会社や合同会社と異なる点です。

メリット

一般社団法人のメリットとしては、まず設立費用が比較的安く済むことです。定款認証は52,000円で、収入印紙は不要、登記申請の際の登録免許税は60,000円です。また、営利性を前面に出さず、イメージがいいです。そして、非営利型なら税制の優遇措置もあり、公益社団法人へ移行することもできます。

デメリット

一般社団法人のデメリットは、まず配当金の分配ができません。また、役員変更登記や決算公告が必要です。そして資金調達が難しく、上場もできません。