介護事業の開業に必要な指定申請について

介護サービス事業を行うためには、必要に応じた指定を受けなければなりません。しかし書類ミスなど手続きに不具合があれば申請が通らないケースもあるので注意が必要です。このページでは介護事業を始めたいと考えている人に向けて、指定申請の条件や準備、流れなどを分かりやすく紹介します。

介護における指定申請とは

指定申請とは、介護サービス事業を行うために都道府県・区市町村・指定都市・中核市などに届出を提出し、介護保険法に則った介護事業者として認定を受けることです。指定申請を受けるためには人員基準・施設基準・運営基準などの条件をクリアしているかどうか、過去5年以内に指定取り消し処分などを受けていないかどうかをチェックされます。

同じ法人が複数の介護サービス施設を設けたい場合は、施設ごとに申請を行わなければなりません。また悪質な介護サービス事業者をなくし、介護サービスの質を高めたいという目的で、2006年の法改正にて有効期限が6年間になっています。そのため有効期限前に更新手続きを行わなければなりません。定期的に事業者が認定後も指定基準をクリアしているかどうかをチェックし、介護サービスを提供する事業者として問題がないかどうかを確認されます。

指定要件の前提条件

指定されるためには、法人基準・人員基準・設備基準・運営基準の4つの基準をクリアしなければなりません。ここでは4つの基準について紹介します。

法人基準

介護サービス事業を行うのであれば、法人として運営するのは必須条件です。法人格の種類自体は特に縛りはありませんが、組織としての活動を書面にした定款に申請する介護サービス事業の記載が必要となります。法人が行っている事業としての位置づけを必ず行わなければなりません。

人員基準

人員基準は、どのような介護サービスを提供するかによって異なってきます。ここでは訪問介護での人員基準について見ていきましょう。

  • 1事業所につき常勤管理者1人 ※サービス提供責任者と兼務も可能
  • 訪問介護員10人につき1人、または事業所の月間延べサービス提供時間450時間ごとに1人常勤のサービス提供責任者を配置
  • 1事業所あたり訪問介護員を常勤換算2.5人以上

上記のような人員配置を行わなければなりません。常勤換算とは全ての従業員の労働時間を、フルタイムの労働時間で割り、常時何人で勤務しているかを表す指標のことです。またサービス提供責任者は資格条件が定められているので注意しましょう。

設備基準

設備基準も人員基準と同様に、どのような介護サービスを行うかによって変わってきます。ここでは訪問介護を例に見ていきましょう。

  • 利用申込の受付・相談などに対応可能な事務室
  • 指定訪問介護に必要な設備・備品を確保

上記のような基準となっており、とくに手指を洗浄するための設備などの感染症予防に欠かせない設備・備品は確保しなければなりません。

運営基準

運営基準も提供する介護サービスによって変わってくるので、人員基準・設備基準と同様に訪問介護を例について紹介します。

  • 正当な理由のないサービス提供の拒否禁止
  • 受給資格の確認や身分を証する書類の携行
  • 利用料の受領
  • 保険給付請求のための証明書の発行
  • 記録の保管
  • 利用料の受領

上記のような運営基準が定められています。

ただ介護サービスの内容によって基準は大きく変わってくるので、必要な要件を調べた上で、指定申請が滞りなく行えるように準備してください。

指定申請のための準備

介護サービス事業者としての指定を受けるために、まず行わなければならないのが担当部署の把握です。事業の種類で担当管轄が異なっています。指定を受けたい介護サービスが都道府県・指定都市・中核市・区市町村など、どの部署になるのかを確認しなければなりません。ただ一部の市町村では都道府県から市町村に権限移譲がされているケースも。申請書類提出する窓口を確認しておく必要があります。担当者を明確にしておくことで、質問などがあったときも問い合わせしやすくなるといったメリットもあるでしょう。

  • 指定(許可)申請書
  • 指定に係る記載事項(付表)
  • 誓約書
  • 有資格者の資格証の写し
  • 就業規則
  • 従事者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 人員基準確認表
  • 管理者名簿と管理者の経歴書
  • 事業所の平面図、外観と内部の写真
  • 事業計画書
  • 備品一覧 など

指定を受ける事業の内容によっても添付書類が異なりますが、一般的に上記のような書類を揃える必要があります。また状況によっては他の書類が必要となる場合もあるため、事前に必要な書類についても提出先に問い合わせておく方が良いでしょう。

また指定を受けるためには法人格も必要となります。申請する事業目的が載った登記簿謄本も準備してください。ただし、ほとんどの都道府県では3ヶ月以内など登記簿謄本の有効期間を設けているため、期限内に発行した登記簿謄本を用意しましょう。

指定申請の手順

基本的に指定申請の準備は3ヶ月前から行います。もちろん状況によっても異なりますが、一般的な手順について紹介するのでチェックしてください。

3~2ケ月前:事前相談や指定前研修の申し込み

介護サービス事業者となるためにはコンプライアンスに沿ったサービスを提供できなければなりません。そのため事前研修は新規の指定を受ける場合、必須になります。

まずは「新規指定前研修申込書」に必要事項を記入したうえで、提出してください。コンプライアンス・介護保険法に則ったサービスを提供するための指導をはじめ、申請書類の記入方法などの説明が行われます。ミスのない申請を行うためにも重要な研修です。

2〜1ヶ月前:指定前研修の受講・申請

指定前研修は法人の代表者、または申請予定事業所の管理者が受講します。研修受講後に申請に必要となる書類をすべて作成し、担当窓口にて申請予約を取得。基本的に申請は、研修を受講した日の月末までに行ってください。予約取得ができる期間は非常に短くなりますが、できる限り早い日程の予約を取得しましょう。もし月末に予約してしまい、書類に不備などがあれば申請を受理してもらえません。面談形式で申請は受理され、ひとつひとつの書類に目を通しながら不備の有無をチェックされます。

指定申請の受理後

次にして申請の受理を行った月の翌月の末日までに、人員基準・設備基準・運営基準などの要件を満たしているかどうかの審査が行われます。審査時点で不明な点があるなど、現地調査を行った方がよいと判断されれば、直接事業所まで足を運び、事業所内を確認されるケースもあります。

審査に通過すれば、月末までに「指定通知書」が送付され、翌月1日から6年間介護事業所としての指定を受けるという流れになります。

フランチャイズなら指定申請のサポートが期待できる

指定申請をするためには数多くの書類を揃え、不備がないように準備しなければなりません。申請書類などに不備があれば、受理されない恐れもあるので注意してください。また法人格を有していなければ、法人格を取得するための手続きも行う必要があります。

そのため初めて介護サービス事業を始めたいと考えても、指定申請を行う手続きがストレスになることもあるでしょう。フランチャイズであれば指定申請のサポートを行ってくれるケースも。余計な負担をかけることなくスムーズな申請がしやすくなります。

「アントレ」「フランチャイズ加盟.net」「フランチャイズの窓口」「マイナビ独立」の4サイトに掲載されている介護・福祉系フランチャイズをすべて調査(2021年9月時点)。
4サイトでの掲載数が多い業種=特に盛り上がっている業種であると定義し、掲載数の多い3つの業種をピックアップしました。

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デイサービス
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    出し続けたい方

デイサービスの
市場について
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放課後等デイサービス
放課後等
デイサービス
メリット
  • 2012年に始まった市場
    のため競合数が比較的少ない
  • ここ5年で利用者は約2.6倍に
  • 障がいのある子どもを支える
    社会的意義の高さ
こんな方に
オススメ
  • 子どもの自立支援といった、
    社会貢献を重視する方

放課後等デイサービスの
市場について詳しく見る

訪問マッサージ
訪問マッサージ
メリット
  • 一人でも開業できるため
    初期投資を抑制できる
  • 伸びている高齢者市場で
    低リスクに開業できる
  • 立地に左右されづらい
こんな方に
オススメ
  • 初期投資を抑えながら、
    低リスクに開業したい方

訪問マッサージの
市場に
ついて詳しく見る

参照元:厚生労働省_介護分野をめぐる状況について【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000608284.pdf)
参照元:厚生労働省_放課後等デイサービスに係る報酬・基準について≪論点等≫【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000678627.pdf)