慢性的な人出不足と言われている介護業界。今後、更に少子高齢化が進むことを考えると、介護業界の人出不足解消は早期に解決すべき問題でもあります。ここでは、デイサービスが人出不足となる理由や、人出不足解消のためにどのような方法があるのかについてまとめました。
デイサービスを含めた介護業界の人出不足の要因は1つではありません。ここでは、人出不足の要因となっている代表的な問題を3つピックアップしましたので、それぞれの問題について解説していきます。
介護職員の年収を他産業と比較すると、およそ100万円低いというデータがあります。「収入が低く仕事がきつい」というイメージもあり、介護職員を希望する人が増えない現状があると考えられます。
また、介護職員は3年以内に辞めてしまう離職率が6割に上るなど、飲食業界や宿泊業界と並ぶ高さになっています。
介護業界への就職を目指す介護福祉士になるための学校は、年々減少しています。介護福祉士になるための学校への入学者数は上昇傾向にありますが、それは海外からの留学生が増えていることが要因です。
日本人の入学者自体は年々減り続けており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。
介護業界は人出不足となるため、有効求人倍率も高い傾向が続いています。3つの事業者が1人の求職者を取り合う状況であり、自社採用は困難です。
また、近年の働き方として派遣を選択する人も増えています。すぐに職場を変えられる、残業がない、給料は変わらないなど、働き手に取ってのメリットが大きいことも、直接雇用が難しい要因となっています。
介護業界で離職する原因に職場の人間関係を挙げる人が多いことからも、職場環境を変えやすい派遣という働き方が人気になっているようです。
介護業界の人出不足は深刻であるため、それを解消するための試みも色々と行われています。ここでは、3つの試みについて紹介します。
介護業界は給料が低く人間関係がきつい、というイメージや実態があります。そこで、職員のコミュニケーションを円滑化する、人事評価を見直す、給与を含めた待遇の改善を行うなど、各事業所で対策が行われています。
介護施設入居者10人程度を1ユニットとして専任のスタッフが介護を行うユニットケアシステムを導入している事業所もあり、少ない人数で介護を行える、集団ケアと比較して負担が少ないなどのメリットがあります。
また、給与アップを図るため、職場内のリーダー的立場にある職員の年収を引き上げる介護職員等特定処遇改善加算が創設されたことを受け、キャリアアップ制度を導入して処遇を改善する動きもあります。
介護業界は無資格でも働くことができますが、資格を取得することで幅が広がります。各事業所では、一定期間介護施設や介護事業所に勤務することで介護福祉士国家資格取得までの支援を受けられる制度を導入し、介護福祉士国家資格取得を目指せるようサポートを行っています。
人出不足の介護業界で注目されているのが、外国人人材です。技能実習制度により多くの国から技能実習生を募っています。段階を経て最終的に介護福祉士国家資格を取得することも可能であり、在留資格を獲得して日本で働くことを目指せます。
また、介護福祉士の資格を持っているが現在は違う仕事をしている人、介護業界で働いていた経験がある人を、介護職として復職してもらう取り組みも行われています。その1つが、復職支援制度です。
静岡県の場合、「介護職経験者復職支援事業」を実施しており、その概要は次の通りとなっています。
介護職は書類作成などの事務作業に時間が取られてしまうことも問題となっていましたが、最近ではITシステムを導入することで時間の短縮・作業負担の軽減・情報共有の円滑化を図ることが出来るようになりました。
また、人出不足解消のために介護ロボットの導入も注目されています。介護スタッフの体力面や精神面の負担軽減効果が期待されていますが、現在は価格が高いことや操作が難しいことなどから簡単に導入できる状態ではありません。
ただし、将来的に介護ロボットが普及することにより人出不足が解消される可能性はあります。
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