介護業界は高齢化を背景に成長を続ける一方で、深刻な人材不足などの課題も抱えています。そのため、異業種からの参入や事業承継を目的としたM&Aが非常に活発化しています。本記事では、介護業界におけるM&Aの動向やメリット、さらに訪問介護やフランチャイズビジネスにおけるM&Aの活用ポイントを解説します。
介護業界全体として市場は拡大傾向にあるものの、様々な課題からM&Aの件数が増加しています。まずはその背景となる市場動向について確認していきましょう。
2025年や2040年に向けて高齢化率が上昇し、介護サービスのニーズはますます増加していく見込みです。しかし一方で、労働人口の減少に伴い、現場で働く介護職員の人材不足は深刻な状況となっています。需要の拡大に対して、サービスを提供する人材が足りないというアンバランスな現状があります。
中小規模の介護施設においては、経営者の高齢化に伴う後継者不足が大きな問題となっています。親族内での承継が困難なケースが多く、事業の存続のためにM&Aを活用する動きが見られます。また、成長産業である介護分野へゼロから参入するリスクを抑えるため、既存事業を買収する異業種企業からの参入も増加しています。
M&Aの実施は、事業を譲渡する側(売却側)と、事業を譲り受ける側(買収側)の双方にさまざまなメリットをもたらします。それぞれの視点からメリットを解説します。
事業を譲渡する側の主なメリットは以下の通りです。
特に、単独では難しい大規模な設備投資やシステム導入も、譲渡先の資本を活用することで実現しやすくなります。
事業を譲り受ける側の主なメリットは以下の通りです。
これにより、新規参入時の大きなハードルとなる人材確保や手続きの負担をクリアし、スムーズに事業を展開することができます。
介護事業の中でも、訪問介護は施設型(老人ホーム等)とは異なる特徴を持っています。未経験や異業種から参入する際は、フランチャイズへの加盟やM&Aが有効な選択肢として選ばれやすくなっています。
訪問介護はシンプルな事務所で運営可能であり、初期投資が比較的少ないという特徴があります。しかし、介護事業は規制産業であるため、各種の許認可取得や専門人材の確保が必須となります。M&Aを活用することで、運営に必要な許認可やスタッフを丸ごと獲得できるため、参入障壁を下げる大きな意義があります。※フランチャイズ契約を引き継ぐ場合は、本部の規約確認や承認が必要です。
介護事業のM&Aにおける価格交渉は、一般的に「時価純資産法(時価純資産+営業利益の数年分)」をベースに算出される傾向があります。実際の事例としては、事業領域の拡大を目指す同業他社による買収や、異業種の大手企業が新規参入を目的として介護施設をグループ化するケースなどが多数存在します。
介護市場の成長性を背景に、事業の存続や新規参入を目的としたM&Aは有効な手段です。介護業界でのM&Aやフランチャイズ参入を成功させるためには、早い段階で専門家やM&A仲介機関に相談することが重要となります。